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第2回フィランスロピー研究会の報告(修正版)

(2008年10月10日)

1.日時:2008年10月5日(日)午後1時から6時まで
2.場所:東京大学本郷キャンパス・経済学研究科棟10階・第4共同研究室
3.参加者:石原、高田、金澤、大杉、中野、岡村
4.内容:「フィランスロピーの概念を巡って」
 報告①岡村会員「フィランスロピーの定義を巡って」→19世紀中頃の英国における5%フィランスロピーと呼ばれる労働者向け住宅建設運動を取り上げ、収益性と効率性を追求するミドルクラス独自のフィランスロピーの特徴と歴史的な意義について問題提起。

 ②高田会員「フィランスロピー史研究の課題と方法」→(a)フィランスロピー研究拡大の背景について、新自由主義、福祉国家の見直し、福祉多元主義等との関連を指摘。(b)定義と研究方法について、charity,mutualisim,altruismとの関連、異同。フィランスロピーの区分方法(宗教と世俗を含む)、地域差・地方と国家・国内と国外・超国家、福祉の複合体の中での位置づけ(公的福祉、タテ・ヨコの関係)、社会編成における位置づけ(セーフティネット、第3セクター論を含む)、歴史的な位置づけ、等について現状と問題点の紹介。

 続いて、石原会員から「スウェーデンにおけるフィランスロピー概念」についてRoger Qvarsellの論文「慈善・フィランスロピー・自発的社会活動:歴史的外観」を素材に、18,19世紀にはフィランスロピーの活動が見られたが、20世紀にはいり、反アマチュアリズムの台頭により、公権力によってとって代わられたという紹介があった。

 以上を踏まえて、大杉会員より日本では慈善活動ですら、下からの自発的な活動はなかなか育たないという(アジア的?)特性があることが紹介された。それを契機にフィランスロピーの各国異同について、議論は大いに盛り上がった。金澤会員から「救われる権利」「救う義務」の二項ではなく、「救われる義務」「救う権利」を加えた四項図式が紹介された。ドイツについてはフィランスロピーという用語は使用されない(中野会員)という事情、アジアの他の国の事情を教えていただくということで、次回は辻会員と帆刈会員に、報告依頼を行うこととなった。
      
5.次回(第3回)の予定について、以下のことを決定した。
  日時:2008年12月7日(日)、または6日(土)午後1時から
  場所:東京大学本郷キャンパス・経済学研究科棟10階・第4共同研究室
  報告者については、辻会員、帆刈会員に依頼する。どちらかが欠ける場合、中野会員。
  (報告テーマについては事務局で調整する)

                                 以上