午後。再び、胸を感じていく。
th「どうして、胸の中がきれいではいけないのですか」
森「‥なんか、民族みたいなものの誇りがなくなるようなかんじ。」
thが、その感覚の中に入るように誘導した。

何かが終わったあとのような感じ。地面は黒く、でこぼこしている。タールのようなもので覆われている。自分は、細くて堅い腕。少し頭が大きい。

‥ということで、地球ではない、ようだった。裏づけのないことを口にするということは、学者のはしくれとして非常に勇気がいるが、ここまで来たら、見えるままに行くしかない。

誘導で、「何かが起こる前の場面」へと行く。

空気はきれい。薄い緑、明るい。やや細い木。
自分は、胡桃のようにでこぼこした、茶色の肌。性別は男。若くて、地球の年齢で言えば15歳。
何人かと共同生活している。

th「まわりの人とはどういう関係ですか」
森「はっきりした家族というのがなくて、何となく仲良し、みたいな。」
th「あなたのお父さんやお母さんは?」
森「そこには居なくて、好きにどこかに行っている。存在は身近に感じる。」遠くに居る同士でも、心さえ向ければ、お互いの存在を身近に感じることができる。父母からたいそう愛されているのが分かった。
th「そこには結婚とかいうのはあるの?結婚して家族を作るというような風習は?」
森「気が合った人が一緒になる、っていう風習はあるけど、地球の結婚みたいなとは違う。(それぞれの人が居たい)土地に着くかんじ。」

土手のように緩やかに傾斜した地面で、他の人は作物を作っている。自分はサボっている。そんなふうでも許されている。
したいようにしていい。
ストレスというものが、全くない。

その後、何か天体が近づいてくることが分かり、事前に他の人は逃げる。その星の人は、任意で自分の身体を終わらせて霧のように消えて無くなるか、どこかの星に再び現れることができる。移動に宇宙船は必要ない。

自分一人、この星を見届けたいという好奇心があったから残る。

th「そこの星はどこですか」
森「分からない。地球より小さいみたい。」ケンタウリ、と浮かんだが、ケンタウリと名がつく恒星は3つある。1つは地球とかなり近いはず‥、めったなことは言えない。

その後、赤い天体が近づいてくる。じりじり焼かれる。自分は穴にもぐっていて、熱い。自分はまだ大丈夫、通り過ぎれば残れる、と信じている。
th「その時点で消えることはできないの?」
森「まだそこの土地に愛着というか、そこですべきことをしてないという感じがあったような気がします。」なんせ、深く考えずにただ好きなように生きていただけだから‥。

やがて赤い天体が通り過ぎていき、本当に真っ黒になった世界を見る。星にはいのちがまだあるけれど、もう『終わり』という感じ。
歩き回り、「この終わりのこと、この星のことを覚えておこう」、と‥
th「どうして?」
森「星に愛着があったのと、『終わるってときはほんとに終わるんだな』ってことを、覚えておこうと‥」
th「そのあとどうしたの」
森「星と少しお話しました。『今までありがとう、とってもきれいだった』と」。記憶の中の明るい緑があまりにも綺麗で、泣けてきた。
th「そしてそのあとどうしましたか」
森「他の星に行くこともできたけど、行ききれなかった。このまま眠るように死なせてほしいと星にお願いをしました。」
th「星は何と言った?」
森「あまり気が進まなかったようです。あまりここのことを綺麗綺麗と言っていても、それだけで終わっちゃうから。」
th「あなたがそれ以上成長できないから?」
森「そうです。」
th「そのあとどうしたの」
森「けっこう泣きましたけど、少し記憶を残させてくださいと言いました」
th「そしたら星はなんと言った」
森「持っていかせたくはないけど、そんなに言うなら、さしつかえないぐらいに、ごく少し持っていったらいいじゃないかと言いました。」

次に移るということを決心しながら、大の字にうつぶせになって眠るように人生を一旦終える。地面の色と同化していく。

th「その星のすばらしさ、忘れないように、星の煤のようなものを、ここに、しまっていたんだね。今はもう、思い出したよ?しまっておく必要あるのかな?」
森「手に持っておきます」
th「まだ持っておく必要あるの?その星ともう一度お話ししてみよう」
森「‥返せと言っています」。星は、(まだ持っていたのか)と、あきれていた。
星のいのちがまだあることにほっとして、私は、「星の成分」を星に返した。

th「それがなくなったあと、胸の中はどうなっていますか」
森「少し、がさがさしています」
th「そこをきれいな光で産めてしまおう。何色の光がいい?」
森「レモンイエローです」 ‥

************
th「咳はどうですか」
森「がんばって(光を)満たしているというか。繰り返しそうしていくことで、良くなっていくように思います。」
thは、過程が完遂されてないとみたようで、「きれいな光に包まれます‥その光にね、『まだ私に、思い出す必要がある、前世の場面へと連れて行ってください』とお願いしてみよう」と誘導した。

瓦礫の山。
第二次世界大戦の日本で、爆撃の後という感じ。
自分は7歳。家族は母と妹(どちらも見覚えはない。)
妹はおそらくすぐに亡くなり、母も、熱風を吸い込んだことにより苦しみながら、3日後に亡くなる。

th「何県ですか?」
森「‥広島みたい‥」(広島の爆撃って‥‥。)

rh「どんな気持ちでそこに居ますか」
森「他所のおじちゃんとかと一緒に、かたまって、途方にくれてます」
th「そしてそのあとどうなりましたか」
森「自分の体もだんだん弱っていって、助かりそうにない感じです」
孤児になった私を、他人の大人たちが介抱して水を飲ませたり、たいへんよくしてくれる。
やがて亡くなる。上から街をみて、「こういう、大きなことだったのか」と知る。
あの世で母親に会い、出迎えてもらう。

th「その人生は、あなたにとってどういう人生でしたか」
森「みんな自分自身だって途方にくれているというのに、優しくしてくれるものなんだな。人は、そういうものなのだな、と思いました。」
th「おじちゃんたちにそのとき、有難うって言えた?今言おうか」
森「握手をしてくれました。」その中に、生き残る人もいれば、亡くなる人もいる、ということを感じた。
th「みんな優しかったね‥。そこにいるあなたがたすべての上に、きれいな光が降りそそいできます。‥」



☆ 催眠療法体験記(3) 序

☆ 催眠療法体験記(3) 主訴

☆ 催眠療法体験記(3) #1

☆ 催眠療法体験記(3) #2−1

☆ 催眠療法体験記(3) #2−2

☆ 催眠療法体験記(3) その後

☆ 催眠療法体験記(3) #3

☆ 催眠療法体験記(3) #4−1

☆ 催眠療法体験記(3) #4−2

☆ 催眠療法体験記(3) 結





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