◆2013年度 審査員総評
■審査委員長 河地 知木(九州産業大学芸術学部デザイン学科 教授)
今年で8回目を迎える当機械学会ロボメカデザインコンペは、毎回色々なテーマに向かって解決の術をさぐり学生諸君の色々な提案があります。今回のテーマはJAXAに協力、提示いただいた「宇宙生活」でした。過去に比べやや特殊なテーマではなかったかと私は思っています。グローバル、かつ普遍的な視点が要求されたのではないだろうかと思います。それだけに、みせていただく審査にも期待がふくらみました。今回の審査会はテーマ提供者であるJAXAからも加わっていただきました。当事者ならではのご意見を多々いただき非常に参考になりました。
そのような中、今回のテーマの様に非日常的であればある程その提案は現実的でなければならないと私は考えました。私個人はそのような目で審査にあたりました。
ロボメカデザインコンペの様なプロダクトデザイン系のプレゼンテーションも視覚的な訴求力が大切ではないかと考えます。つまりプレゼン用ボードのデザイン等も適切な図やダイヤグラムを交えレイアウトを美しく仕上げることも大切ではないでしょうか。そのためにはグラフィックデザイナー等もメンバーに加え、そのノウハウで視覚的に訴えることへの配慮も必要であると感じます。意図するところがより伝わると思われます。今後一考されてはいかがかと思います。
■審査委員 小林 智之(宇宙航空研究開発機構(JAXA) 有人宇宙ミッション本部 宇宙環境利用センター 技術領域リーダー)
今回、はじめて審査委員として参加させていただきましたが、学生らしい大胆でユニークなアイデアが数多く提案され、モックアップを用いたすばらしいプレゼンテーションと工学と芸術とのチームワークを見ることができ、大変すばらしい企画であったと思います。宇宙開発は科学技術分野の重要な柱の一本として位置づけられていますが、これまでのように宇宙に対する夢や希望といったイメージに根差した技術開発対象としてではなく、如何にして社会に役に立つかということが強く求められています。本ロボメカデザインコンペでは、工学と芸術などの分野が融合してロボットがデザインされており、今回検討した技術やデザインを起点にして今後の皆さまのご活躍を大いに期待しています。
■審査委員 井上 孝和(福岡市 経済観光文化局 新産業・立地推進部 新産業振興課 課長)
昨年に引き続き,審査委員として参加させていただきましたが,宇宙における宇宙飛行士の生活や活動を支援するという目的を達成するために,学生らしい様々なユニークなアイデアが提案され,モックアップやプレゼンテーションの準備も念入りであり,非常に楽しかったです。
今回の最終審査では15件の応募の中から1次審査を突破した6件が選ばれており,審査の甲乙つけるのは難しい部分もありましたが,自分自身の業務である新産業の振興という観点から審査をさせていただきました。そういう点では,実際のビジネスベースでの検討ができるチームがあったのは,非常に頼もしい限りでした。
来年も,審査員が審査をする際に頭を悩ませるような素晴らしい提案が数多く集まってくることを大いに期待しています。
■審査委員 善甫 英治((公財)北九州産業学術推進機構 産学連携統括センター ロボット開発支援部 部長)
「きぼう」における宇宙飛行士の生活・活動支援のテーマに対して、各チームとも宇宙ステーションでの生活が現実味を帯びてきたこともあり、的確な課題を抽出し、その解決のための各種ロボットを検討・提案されていました。また、各チームとも提案内容等を適切に要領良く発表されており、非常に良かったと思います。ただ、チームとして、他大学や学部の異なるメンバー構成での応募が少なかったように思いますが、この点は今後に期待したいと思います。