(一社)日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス部門主催 九州地区競技会

フューチャードリーム!ロボメカ・デザインコンペ2022

■審査員総評


審査委員長 筬島 修(一般社団法人九州経済連合会 産業振興部長)
 今回のテーマは、「健康、教育、観光、地域産業の振興に貢献するテレオペレーション、テレロボティクスのための独創的ロボメカデザイン」でした。また3年ぶりのリアル開催となり、学生の皆さんの熱気を直に感じることができ、やっぱり対面がいいなあと思った次第でした。
 6チームによるコンペでしたが、それぞれに興味深い観点からの提案だったと思います。その中でも最優秀、優秀の2チームについては、審査員の意見がほぼ一致したものの、佳作の4チームについては意見が分かれ、それぞれの「推し」が割れるという、非常に珍しい結果となりました。ということはやはり今回も実力が拮抗した、いいコンペだったのではないでしょうか。
 暗いニュースが多い世の中ですが、過去は変えられないが、未来は自分たちが創るという気概を持って、皆さんにはこれからの人生を歩んでもらいたいなあと思います。

<リベンジャーズ(福岡大学・九州大学):ムササーチ>
 まずは悲願達成おめでとうございます! 今回はムササビをモチーフにした森林保全の提案でした。モックアップもよくできていました。森林の整備・保全は、SDGs・CNの実現に不可欠な課題ですし、提案のようにAI等を活用して、省力化・効率化を推進し、森林整備を促進していくという考えは正解だと思います。強いてあげれば、このアイデア(ドローン・AI活用策)は、他でも存在していると思われますので、もう少し中身の充実、例えば取得したデータ活用策とかまで踏み込んでいたら、さらにより良い提案になったと思います。

<Team KINDAI(近畿大学):ほるもーる>
 近年生産量が減少する有明海の養殖ノリ。解決策としての海底耕運ロボの提案でしたが、フォルムもよく、電動で24時間稼働するというものでした。現状は船で耕運を行っており、50隻で月4回しか行えないらしく、これで省力化・効率化ができるというアイデアでした。
 モックアップもよくできていて、このチームも高評価でした。ひとつだけ、実際の養殖場の真下の海底は耕運しない区域でしたが、これだと効果が半減するのでは、と思ってしまいました。

<KNMR(久留米工業高等専門学校):おんせんペンギン1号・2号>
 観光資源として重要な温泉をあらゆる面でバリアフリーな空間にする、入浴補助機能と通信機能を備えたロボの提案でした。ペンギンをモデルにした形状も可愛らしくてよかったのですが、私としてはロッカーキーをウェアラブルデバイスとして高性能にするアイデアに注目しました。当日の審査でも視力が悪い方が眼鏡をはずして入浴する際、結構危ないといった話もありましたが、そういった方々に対する、まさに通信機能と入浴補助機能を両立するデバイスになると思いました。

<プロジェクトα(九州産業大学):放置自転車取り締まりロボット「モニタンク 1号・2号」>
 最近はだいぶ改善されたようですが、相変わらず大きな問題である福岡市の放置自転車にフォーカスした提案でした。可愛らしいロボを遠隔で操作し、注意を促すアイデアでしたが、まず効率性が課題ではないかと。つまり移動するのにかなり時間を有するのではないか、また通学・通勤者と同じ道路を使用するので、放置自転車問題解決とは逆に、安全性とか混雑とかの問題も出てくるのではないかと思いました。

<IwaLab.(有明工業高等専門学校):道草刈取君>
 財政が厳しい自治体にとっては、助かるロボだなと思いました。実際、この作業を担っているのはシルバー人材センター(高齢者)の方々が多いと思われ、事故も発生しやすいのではないかと想像していました。
 ただ、このロボは「産業の振興に貢献する」というよりも「行政の効率化・住民負担の軽減」に貢献するものではないかと考え、その点、今回のコンペでは評価が厳しくなってしましました。

<ロボ名家(Robo Maker)(日本文理大学):地域密着型まつり盛上げロボ「セイヤ」>
 地域のまつりを題材にしたアイデアでした。まつりを観光資源としての側面、地域住民のきずなとしての側面、自分事としての側面から磨き上げていくというコンセプトかなと感じ、すばらしいと思いました。
 逆にそれをロボに落とし込んだ時に、領域が広がりすぎて、あれもこれもになって、若干焦点がぼやけてしまったのが残念でした。


審査委員 田中 久生(福岡市科学館 サイエンスコミュニケーター)
 このコンペの審査は、多様な立場の審査員が参加しており、ロボットに詳しい方や、デザインに詳しい方、市民に近い目線を持っている方が、審査しています。ということは、ロボットの機能だけや、デザインだけではない、両者をあわせもったロボット、状況設定が必要になると思われます。
 そんな中、皆さんの発表は、年々詳しい背景の調査や機能の考察になっており、実現できそうなアイデアとして感じ取っています。
 それが、私にとってとてもいい刺激になっております。ありがとうございます。
 テーマに対して、解決した姿の『夢』を想い、『夢』を実現するために課題を見つける。その課題にたいして解決方法を考えていくと、その『夢』は実現するための『目標』になっていくと思っています。
 これからも、ぜひ大きな『夢』を持ち、そして『目標』を設定し、皆さんの考えたロボットで解決してほしいと思っています。

<リベンジャーズ(福岡大学・九州大学):ムササーチ>
 プレゼンテーションの際に、課題を解決するための必要な項目をしっかりと調査・考察していると感じました。また、ロボットが稼働した際の問題点をしっかりと洗い出し、対策を検討していることで、実現性が高いと感じました。それらによって、全体を通して、非常に説得力のある発表でした。もし付け加えるならば、ドローンの大きさなども具体的に発表の中に入っていると、ロボットの稼働している姿がイメージしやすかったです。
 最優秀賞、三松社賞おめでとうございます。

<Team KINDAI(近畿大学):ほるもーる>
 海苔の収穫に対して、私自身知らない解決方法の提案で認識が改められる、非常に興味のある着眼点でした。資料には大きさなどが入っていませんでしたが、プレゼンテーションの中で語られており、実現した時の想定ができていると感じました。また、稼働した際のデメリット、メリットを考え、行動範囲やスケジュールなどが想定されており、説得力を感じました。しかしながら、充電方法は、海中ということも考慮しつつ、固定方法なども検討されていると、さらに実現性を感じました。

<KNMR(久留米工業高等専門学校):おんせんペンギン1号・2号>
 ペンギンというデザインが非常に親しみやすく、万人に愛されるロボットになるのではと、大いに期待いたしました。また、体調に合わせた入浴方法のアドバイス機能など、温泉を楽しめるようにする着眼点がおもしろかったです。ただ、入浴補助機能を考える場合は、もう少し機能やデザインに工夫がみられるとよかったと感じました。また、おすすめ街案内は、その場の声だけでなく、温泉を出た利用者が現地に向かいやすいようデータを共有する方法などがあると、なお愛されるロボットになるのではと思いました。

<プロジェクトα(九州産業大学):放置自転車取り締まりロボット「モニタンク 1号・2号」>
 よくニュース等で取り上げられるテーマなので、市民の関心が高いと思います。だからこそそれを解決するためのロボットが稼働していても、市民から理解が得やすいので、テーマ選定が素晴らしいと感じました。ただ、1号と2号と分けるのであれば、もう少し明確に機能を分けたほうがいいと思いました。さらに、毎日市街地で稼働しているロボットということは、目に触れやすいロボットなので、もっと親しみや惹きつけられるようなデザインだと、私自身、そのロボットを見たいと強く思います。

<IwaLab.(有明工業高等専門学校):道草刈取君>
 プレゼンテーションの中で、ロボットの機能的なアイデアを、イメージがわきやすいように実現しているものを利用しながら撮影した動画を用いることで、非常にロボットが稼働した際の前後をイメージしやすかったです。ロボットのガイドローラーは、安全を考える上で、素晴らしいアイデアと感じました。しかし、歩車道境界ブロックがない道路なども多いので、それも対応できるような柔軟な機能か、複数のロボットのアイデアがあるとよかったです。また、想定されるロボット大きさなどが資料もしくはプレゼンテーションの中であるとより具体的にイメージしやすかったです。

<ロボ名家(Robo Maker)(日本文理大学):地域密着型まつり盛上げロボ「セイヤ」>
 地元を盛り上げたいという発想から、「まつり」という着眼点が非常に面白かったです。祭りの主役は人なのでロボットが主役というより補助としているところも、状況や機能が整理できていたと感じました。ただ、ロボットのねらいが口頭だけでなく、資料やプレゼンテーションの中で分けて整理されたほうがわかりやすかったです。また、まつりを前から盛り上げるということであれば、通常どのようにまつりが準備され、当日を迎えているかが発表されているとより説得力を感じました。(博多祇園山笠ではお汐井とりや流舁きなど様々なことを実施されており、最終日を迎えるまでの流れがあります)


審査委員 加藤 優(九州産業大学理工学部 非常勤講師)
 今回は全体的に割と身近な問題・課題に基づくテーマで気をてらわない地道な提案が目立ったように思います。第一次審査結果を見ると福岡大学が14チームも参画しており、その中から選ばれた1チームが最優秀賞を受賞されました。同一大学内で多くの学生(チーム)が競い合う環境も中身の濃い提案での高評価につながったとも言えるのではないでしょうか。反対に久留米工業高等専門学校のKNMRさんはたった一人でありながら第一次審査を通過し、最終審査でもスポンサー賞を受賞されるという高評価を得ました。他の学校の参画者を見ると少ない数ですが女子学生や海外の学生の姿がありました。そのような多様で多彩な学生によるチーム構成からは異なる知性や感性の混じり合い、ぶつかり合いの中で斬新な発想の提案がされることが期待出来ます。一人、或いは少人数でももちろん良いのですが、このようなチーム構成での試みも今後はもっと拡がると良いかなと思います。

<リベンジャーズ(福岡大学・九州大学):ムササーチ>
 最初のプレゼンテーションでしたがスライド、発表者の説明ともに分かりやすく、よく整理して準備されているなという印象を受けました。伐採すべき木を検出するAIと地形を把握するソナー及びカメラによって必要なデータを取得し、それらをアプリを介して伐採対象の木を選択し、そのための安全な最適ルートも導出するという提案でした。AI等の先端技術的な事は私には良く解らないのですが、実現の可能性を感じましたし、またムササビの3Dモデルも良く出来ていました。寸劇は面白かったのですが例年に比べて若干抑え気味で、本筋のプレゼンテーションに今回重きを置いたのが最優秀賞につながったかと思います。チーム名の通りリベンジを果たす結果となる最優秀賞、おめでとうございます。

<Team KINDAI(近畿大学):ほるもーる>
 佐賀での海苔の品質低下と生産量の減少は郷土にとって切実な問題ですね。佐賀ではあまり行われていない水中耕運をロボティクスによって行い、それを解決しようというテーマ設定は良い着眼だと思います。またモグラ型のデザインは良いと思います(決してカミツキガメに見えるとは言っていません)が、プリント資料に載っている画は3Dデータによるレンダリングでしょうか耕運機の3点リンクなど詳しく考えられているように見え、またモグラの後部には意味がありそうな変六角形の立体がふたつ付いているので、それらの説明があればデザイン・造形性についてもっと良く理解してもらうことが出来たのではないかと思います。そこには本体と耕運機を分離させた意味もきっとあったのではないでしょうか(私見としては本体側:デザインされている、耕運機側:機構が見えてデザインされていないイメージ)。機能性・実用性という点では耕運機側が車重0.5t、本体が車重1tあり4輪クローラー駆動なので海底でスリップなどしないで耕運出来るのだろうと想像しています(海底の地形も影響するでしょうし、何かで検証出来れば良いのですが)。優秀賞おめでとうございます。

<KNMR(久留米工業高等専門学校):おんせんペンギン1号・2号>
 病気で発声にも苦労する中リモートですがしっかりプレゼンテーションされ、提案を良く理解することが出来ました。温泉での自分の経験・困難から観光産業である温泉における小さい子供家庭や外国人観光者の不便に着目したテーマ設定は説得力があり、ウェアラブルなデバイスでの情報提供などの種々機能は実用性・有用性も高い提案であると思います。ペンギンの表面処理(油膜に覆われた短いウーリー)や足裏のゴム素材など細かな部分にも考察がなされているのは特にプロダクトデザイナーとしては高く評価したいと思います。ただぺんぎん2号は洗身と歩行補助の機能を有するとのことですが、プリント資料にあるイラストでは人を抱き抱えるような機能もあるのかなと間違って認識してしまいました。そうならないよう正確に意図が伝わる資料作成というものにも今後は注意すると良いかと思います。本提案は一人でされたとのことでよく頑張られたと感心します。

<プロジェクトα(九州産業大学):放置自転車取り締まりロボット「モニタンク 1号・2号」>
 福岡市の地域的課題のひとつでもある放置自転車の取り締まりをテーマとしたものですが、あらためて配布資料を確認すると補足資料では色々なデータを集めていますね。またプレゼンテーションでは現地調査を実施していてその写真の説明がありました。大変に勿体無いのは、このように真面目に情報を収集しながら、提案につながる自分達の思考のプロセスとの関連の説明がない事です(天神と博多駅周辺とでの自転車トリップ数の増減の傾向差など興味深いデータですが確かにどう分析して対応すべきか難しいですね。結局は放置自転車の数を減らすしかないという結論になるのかもしれませんが)。今回のプレゼンテーションでは背景の説明の後、いきなり提案物のロボット2体の説明になったという印象があります。啓発動画を流すロボットなどは現在の人による巡回取締り作業・機能とは異なるアプローチですので、それに至った自分達なりの知見が説明出来るとよかったと思います。もうひとつのロボットの警告シールを貼る、誤って自転車を倒すことを防ぐ、という機能が重要であるならばそれに特化した機構と形状を考えることにより、もっと独創的で魅力的なロボットが創造出来たかもしれません。厳しく言い過ぎたかもしれませんがモデルは3Dデータを駆使して良く作られていたと思います。

<IwaLab.(有明工業高等専門学校):道草刈取君>
 審査の中ではテーマ適合性にやや難があるとの意見もありましたが私はシルバー人材を活用する上での問題改善、また景観確保・安全への貢献という観点で意味のあるテーマ設定であると思いました。解決されるべき問題点が明確化されプレゼンテーションの説明の順序も大変良かったと思います。機構も良く考えられシュレッダーの動画など検証を行っているところも良かったですね。プレゼ時には実物の大きさを知りたくてモデルの縮尺を1/2或いは1/3かと質問しましたがモデルには歩車道境界ブロックも一緒に作ってあり実物大のモデルだったようですね。大きく成長した雑草を考えると少し小さいかもしれません。ガイド、刈り取り、回収、掻き出し、などの各機構のアイデア(解決策)は良いので、それらをどのように配置(パッケージングと言います)し、それぞれどのような大きさであるべきか、をもっと考えると実用的で説得力ある提案にもっと近づくでしょうしダイソンのクリーナーのような画期的なデザインが生まれるかもしれません。佳作でしたが私の中では2位の高評価でした。

<ロボ名家(Robo Maker)(日本文理大学):地域密着型まつり盛上げロボ「セイヤ」>
 提案趣旨説明書を読むと「府内戦紙」についての調査と問題点の把握、着目点、解決するシステムの提案と個別要素の実現可能性、ときちんとプロセスに則った開発をしていることが分かりました。大変残念だったのはプレゼンテーションでは「コンセプトに至るまで」は理解できたのですが、その後の目的の全体像がよく解らないまま個別の技術要素の説明に移行しそれに時間を割きすぎてしまったことです。「セイヤ」というのが提案のロボットかと思っていましたが、それは「Bigセイヤ」で他に飛翔型ドローンの「Light footセイヤ」もシステムとしてあると後で知りました。日本文理大学が得意とする研究成果の「音像生成」や「空気エンジン」、「圧力センサー」などのアイデアが盛りだくさんだったのは良かったのですが、個別説明とその議論に終わり全体としてのシステム提案の良さまで我々に伝わらなかった印象です。本来であればもっと高評価を得たはずの提案だったと思います。


審査委員 永里 壮一(メカトラックス株式会社 代表取締役)
 久しぶりのリアルなプレゼンで、とても興味深く楽しく拝見させていただきました。また知らないことも多々あり私自身が勉強になりました。当日の審査員講評でもお話ししましたとおり、最優秀作品のリベンジャーズ(福岡大学・九州大学)「ムササーチ」は満遍なく高評価で、文句なしの最高得点でしたが、佳作の作品も一部からは高い評価を得ていました。皆さん胸を張って自信をもって良い結果と思います。
 あとは、プレゼンだとどうしても資料の流れに沿ったた機械的な説明になりがちですが、プレゼン後のモックアップ前での個別説明も大事な気がします。ロボ名家(Robo Maker)(日本文理大学)チームは、その点デモ機や説明員の配置など丁寧な気配りをされていて、個人的にとても興味深く拝聴しました。コロナ過で難しいかもしれませんが、他のチームも学会のポスターセッションのように説明員張り付きで説明されても良かったかもしれません。
 今回の経験を活かして、これから皆様が様々な分野で活躍されることを祈念してます。

<リベンジャーズ(福岡大学・九州大学):ムササーチ>
・プレゼン資料が分かりやすくストーリーがしっかりまとまっている、プレゼンターが落ち着いていて上手
・ムササーチのデザインが良い(ムササビ型クアッドコプターは構造上も合理的)
・カメラとソナー、複数センサの使い分けは良く考えられている
・伐採場所へのルート案内機能は素晴らしい
・ムササビ保護の観点でのムササビ型のデザイン、着眼点素晴らしい
・プレゼン、演技、ストーリーも本当に良かったです

<Team KINDAI(近畿大学):ほるもーる>
・テーマ設定から解決策へのストーリーがシンプルで分かりやすい
・海底耕耘は知らなかった、勉強になりました
・アイデアは素晴らしいと思うが、経済性の観点が欲しかった
・耕耘エリアの設定、間隔開けて耕耘などよく検討されている
・充電ステーションの非接触給電方式は、水中での効率を確認して欲しかった
・通信ブイで常時通信を行い位置把握できる構成は良い
・欲を言えば、有明海で実際に海底耕耘が必要かどうかのリサーチが欲しかった

<KNMR(久留米工業高等専門学校):おんせんペンギン1号・2号>
・温泉を安心して利用できないというストーリーをもう少し丁寧に説明してほしかった
・ウエアラブルデバイスロッカーキーの便利機能は分かりやすい、心拍数とかの体調モニタリングとかもあれば尚良い
・自分が眼鏡なので入浴中に情報が少ないのは凄く共感できる、そこをもう少し強調しても良かったのでは(※段差や泉質、段差のアラートとか)
・2号の転倒防止は、高齢者が屋外で使ってる手押し車的な発想でも良かったかも、需要ありそう
・オンラインでのプレゼンでしたが、もう少し話を聞いてみたい内容でした、メカトラックス賞おめでとうございます

<プロジェクトα(九州産業大学):放置自転車取り締まりロボット「モニタンク 1号・2号」>
・テーマと背景は共感できる
・現地に出向いて実際に調査しているのは良かった
・1号と2号の位置づけが分かりづらかった
・離れた場所から駆けつけて1号2号が連携は、ちょと難しいように思った
・取り締まり(シール貼り)より、啓発のアイデアは実現性高いと思われる

<IwaLab.(有明工業高等専門学校):道草刈取君>
・素朴だが良いテーマ、草刈り作業はよく見る機会があり共感できる
・歩車道境界付近にフォーカスしている点が良い(課題が明確)
・草刈り費用が1km 40万円!!!勉強になりました
・ガイドローラーを活用するアイデアは素晴らしい(面倒な位置制御が不要)
・境界ブロックが崩れてないかの確認(道路保全)にも役立ちそう
・除草前、除草後の写真が少々わかりづらかった(特に苔)
・歩車道境界の草むらでダニが何処まで問題になってるかの説明が欲しかった
・機能的とは思われるが、造形性にもう少し工夫があっても良かった。(デザインとして遊べる余地が大きい)

<ロボ名家(Robo Maker)(日本文理大学):地域密着型まつり盛上げロボ「セイヤ」>
・地元の祭りを取り上げている点は分かりやすい
・祭りの盛り上がりを時系列的に分析してる点が面白かった
・アプローチ内容の図がキモと思うが、情報量が多すぎでちょと分かりづらい
・ゴミの投入口の話が唐突だったような
・映像リクエストでルート選定できるのは他にも応用できそう
・音像生成装置のデモがもう少し分かりやすくしてほしかった(選曲w)
・ゴミ箱で投票という使い方が分かりづらかった
・噴泉エンジンについての説明プレゼン中に欲しかった
・プレゼン後のモックアップ前での説明がとても丁寧で分かりやすかったです、御対応ありがとうございました


審査委員 田名部 徹朗(株式会社 三松 代表取締役)
 今回の審査は各チームとも優劣つけがたく僅差での表彰は審査員泣かせのものとなってしまいました。毎回農林水産業から観光文化的な要素まで多岐にわたったテーマが取り上げられ、私の知らない九州各地の課題を大いに勉強させていただいていますが、その中でも今回は、3年目に入ったコロナ禍で「癒し」「ねぎらい」を提供するためのテーマ選定が多かったと思います。発表内容は、テーマ分析はもちろんのこと、ロボメカ開発にあたってもきちんと要素試験や分析・検証も行って設計・デザインを行たことで実現性の高いものに引き上げておられ、成熟した発表が多かったのが印象的でした、また、対人接触の制限等で限られた時間の中でもチームとして一致団結して取り組まれた成果が垣間見られ感動いたしました。このコンペを通じて経験し体験されたことは、参加された1人1人が今後社会に出てもきっと血となり肉となる成果・体験だったと思います。また来年どこのチームに三松賞を授与できるか楽しみにしています。

<リベンジャーズ(福岡大学・九州大学):ムササーチ>
 まずは、悲願の優勝おめでとうございます。苦節17年、先輩たちの苦労がようやく実り良かった、よかったと思っています。発表は、地域だけでなく日本全体の課題である林業問題について真正面からアプローチしたものであり、すぐ導入できるドローン、AI技術や安全ルート設定技術を課題解決方法として効果的に組み合わせることで、要素技術開発をあまり必要としない、実現性の高い発表となっていたと思います。評価項目には入っていませんがプレゼンもわかりやすいものとなっており理解の一助に効果的であったと思います。三松賞も上記に大変感銘を受け贈らせていただきました。最後に、今年は例年に比べ定番のパフォーマンスに雑さが見られました。逆にこれが優勝の原動力につながったかもしれませんが是非来年は課題解決プレゼンよりパフォーマンスを充実していただき二連覇に花をそえていただえればと思います。次回に向けて精進してください。

<Team KINDAI(近畿大学):ほるもーる>
 有明のノリについての考察は当社の古くからのお客様が関与されている事柄でもあり大変興味深く聞かせていただきました。また、栄養不足に悩むノリ農家の皆さんにとって、海底耕運なる方法が海に栄養を広げる方法として有効であるということを初めて知りました。更に、それを行うためには船を50隻も動員し月4回も作業を行わなければならないという大変さは想像しただけでもやっかいな作業であり、それを自動化するというテーマ選定は申し分ないものと思いました。また、対象作業や対象エリアについての分析、現行でのコスト計算、リスク分析等の検討は課題解決の実現性において一番大切な点です。これをち密に行われていた点には大変好感が持てました。装置開発においても、通信ブイ方式、充電方式等様々な検討をされており、優勝チームとそん色のない発表であったと思います。これに懲りず来年も素晴らしいテーマをもって発表をお願いいたします。

<KNMR(久留米工業高等専門学校):おんせんペンギン1号・2号>
 農林水産業に関するテーマが多い本コンペの中で、観光・地域振興の観点から「温泉」に関する問題をテーマにあげたところは非常に興味深く、また気づきにくい事実(お子さんの入浴制限が引き下げられている等)から地域振興につなげていくための方策を考えられた点で秀逸だったと思います。装置開発においては、まずデザインの可愛さしさについ顔がほころんでしまいました。また、ウエラブル端末でのキー管理、健康端末、通信端末としての利用等細かい配慮のなされたスペックには感心いたしました。残念であったところは、1号に比べ2号のコンセプトが漠然としており、全体的な実現性という点で見劣りした点が残念でした。2号のブラッシュアップをぜひお願いしたいものです。

<プロジェクトα(九州産業大学):放置自転車取り締まりロボット「モニタンク 1号・2号」>
 福岡市の放置自転車問題はアジアの玄関を目指すこの町の長年の課題です。様々な調査を経てのテーマ選定は申し分ないものと思いました。解決方法としましても、放置を防止するための啓蒙から始めるという点は地に足の着いた方法を選択されたと感心しました。しかし、これらの課題解決を実現するための装置開発においては、サイズ、駆動方式、シール貼り方法、2台の運用管理方法等において、もっと深く検討を要するものが多く、実現性という点ではハードルが高いと思わざるをえなかったことが残念でした。課題そのものは非常に重大な事故も考えうる喫緊の問題であり、ぜひ深い検討を行っていただけるとありがたいと思います。

<IwaLab.(有明工業高等専門学校):道草刈取君>
 当社の近所にもシルバー人材センターがあり、よく草刈りをされている光景を目にすることがありますが、今回の発表をされるまでこんなにたくさんの痛ましい事故があるということを知りませんでした。そういう意味では、身近であるけれども決して見過ごしてはいけないテーマ、弱者を助けるテーマの選定は気持ちのいいものでした。草刈り実験を通じての作業検証や作業コストも調査分析したうえでの課題抽出は、境界ブロックを活用したガイドローラー方式の設定など実現性の高さを感じさせるアイデアをご提示されたことにしっかりつながっていたと思います。ただし、ガイドローラーが使えない道路への対応等メリットデメリットの検討や、またデザイン性において、もう少々武骨さの消えたお年寄りでも使い勝手の良いデザインができれば、もっと素晴らしい発表となったと思います。

<ロボ名家(Robo Maker)(日本文理大学):地域密着型まつり盛上げロボ「セイヤ」>
 コロナ禍の中であるからこそ生まれた「府内戦紙の活性化支援」というテーマ選定はロボメカとのマッチングが難しいテーマであると思いましたが、地域との連帯へのチームの強い思いが勝ったテーマ選定であったことが感じることができた発表でした。内容的には課題の抽出は地道に行われたものと思います。ただし、それを実現するための思いが強すぎたためなのか、装置開発においてあれもこれもと様々な技術を盛り込みすぎてしまい、全体としてまとまりのあるスペック設定やデザインにつながらなかったのは惜しかったです。ただし、選定された個々の技術は要素技術として応用性の高いものであり、逆にこれらの技術を使って何ができるかを考えてテーマ選定を行ってみると面白いアプローチができるのはないかと思います。