(一社)日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス部門主催 九州地区競技会

フューチャードリーム!ロボメカ・デザインコンペ2018

◆2017年度 審査員総評

審査委員長 善甫 英治((公財)北九州産業学術推進機構国家戦略特区特任コーディネータ)
審査委員 加藤 優(九州産業大学芸術学部デザイン学科非常勤講師)
審査委員 池田 忠浩(福岡市こども未来局こども部青少年施設検討担当課長)
審査委員 筬島 修三((一社)九州経済連合会 企画調査部部長)
審査委員 永里 壮一(メカトラックス株式会社 代表取締役)
審査委員 田名部 徹朗(株式会社 三松 代表取締役)


審査委員長 善甫 英治((公財)北九州産業学術推進機構国家戦略特区特任コーディネータ)
 今回の発表を聞かせていただき,各チームとも地域が困っている問題を見つけて,状況を把握した上で解決するための方策を検討されていることに非常に感銘を受けました. まさにニーズを明確にしてその対応を考えるニーズ志向を地で行っておられると思います. 対応策の検討段階では,その深さに少しバラツキがあるように感じましたが,総じて真摯に向き合っておられると思いました.
 本コンペのタイトルには「デザイン」の文言がありますので,各チームが考えられた各種ロボットのデザインには,もう少し工夫があっても良いのではないかと思いました. いづれにしても,素晴らしい発表をありがとうございました.
<チーム九ウィ(九州大学):キウイ花粉自給システム>
 キーウィは最近,健康にも良いとのことで,需要が増えている果実ですが,品質を決める要素が,受粉の良し悪しであり,受粉するための雄花の花粉が,輸入に頼っていることはあまり知られなかったことだと思います. そこで,花粉の国内生産のためのシステムを構築するためのキーとなるのは,花粉自給ロボットの実用化であると認識を新たにしました. 主旨説明書も分かり易く,花粉自給ロボットPowiのデザインも優れており,実現できることを期待しています.
<博多DAIFUKU(福岡大学):機織り娘 〜博多織、ヒトが作るか?ロボが作るか?〜>
 博多織の職人が減少して,手織りの博多織が少なくなっていることへの対応として,手織りの「味」を残しつつ生産性を向上させようとする試みは,大変良いところに目をつけられたと思います. 世界的に見てもこのような伝統的な織物の職人は減ってきていると思いますので,有効な手段になり得ると思います.
 実際に機織りロボットを使用して,織物を製作する際にはまだまだ多くの課題があると思いますが,近い将来,技術的に可能な領域に入ってくると思いますので期待したいと思います.
<DENDEN(近畿大学):ジャンボタニシの卵駆除ロボット「Re:MOVER」>
 福岡県のおいしいお米の生産を阻害する要因の一つとしてジャンボタニシの害があるため,この卵を手で駆除したいが,神経毒を持っていることから代わりにその作業をおこなうロボットが求められていました. 米作農家が困っていることに着目し,地域の問題を自分達なりに捉えてその解決策を提案されたことにはとても感心しました. 方法論については,もう少し詰める必要があると思いますが,実現に向けた努力をお願いしたいと思います.
<neto3(日本文理大学):地域見守りネットワーク形成補助具「ウェルステッキ」>
 大分県は元来,温泉を活用して農閑期を利用した湯治文化が発達してきたが,近年は別府の温泉卿にその面影を残すのみとなっている. このような伝統を活かしながら,主として地域の高齢者の人々が各種センサーを搭載した魔法のような杖を使って,情報のやり取りとネットワークを構築することで情報の集積を行い,地域コミニュニティの形成支援を目的としていることは,これから似たような他の地域にも大変参考になると感じました. ただ,主旨説明書を見た限りでは,上記のような意図があまり伝わってこなかったことや,杖の模型のデザインにもう少し工夫があればもっと良かったと思います.
<かぼすエキス(大分大学):道路の露払いロボット「キリザム」>
 大分県内の自動車道は霧による通行止め時間が全国でも1位〜11位までを占めるという悪条件にあることにあらためて驚かされるとともに,経済的にも非常な損出を被っていることを認識させられました. このような環境をなんとかしたいとの思いは切実なものを感じました. ただ,自然が相手であることを考えると,一筋縄ではいかないと思いますが,少しでも霧の影響を軽くすることができれば素晴らしいことだと思いますので,応援したいと思います.
<金太郎'S(久留米工業大学):縁の下の力持ち>
 農業従事者の高齢化に伴い,農作物の入ったコンテナの持ち上げや持ち運びの際にパワーアシスト装置が望まれますが,従来の装置は複雑で高価であることが多いため,このような課題を解決するための提案である. 要は,動力を使わずにシンプルなメカ機構で目的を達成することを目標としている.
 このような装置を検討する上で考慮すべき点は,装着した時に体の動きが阻害されないか,どの程度のアシストが必要かなどをあらかじめ検討しておくことが必要です. 更には,動力を使わない他の方法もありますので,今後参考にしていただければと思います.
<Jelly Fish(熊本高等専門学校):Jelly Fish Hunter>
 近年,沿岸漁業での課題として,クラゲの異常発生による漁業への影響が懸念されている. この事実に対して網にかかる前のクラゲをドローンで見つけて,短時間で処理するロボットの提案は的を得たものと言えると思います. その際,ドローンでクラゲを見つける方策の具体的な検討や,クラゲを短時間で細かく砕くために必要な方策をもう少し具体的に検討した説明があれば,もっと良い発表になったのではないかと思いました.

審査委員 加藤 優(九州産業大学芸術学部デザイン学科非常勤講師)
 今回,初めて審査委員として参画させていただきました. 「地域産業の支援,地方創生」というテーマに対して,各学校ともにその地域の特性・特色を学生の皆さんの独自の問題意識からユニークな視点で取り上げており,どれも大変興味深く聞かせていただきました. ただ,それぞれの課題に対してどのようにアプローチしてアイデア(最適の解)を見つけ出したか,なぜこのような最終的なデザインにまとめたのかという点においては,プレゼンテーションの時間が十分ではなかったこともあるでしょうが,なるほどそうかと頷ける合理的な説明が出来た学校は,あまり多くはなかったように思えました. 何が問題かを発見し,何を課題として設定すべきかに対しては「何故?」を繰り返し,発想したアイデアに対しては「他に良いアイデアはないのか?」とチームで議論することによって初めて気付きを得,その後にようやく幾つかの可能性や選択肢の中から自分たちも納得し且つ説得力もある提案にたどり着くことが出来るのではないかと思います. 本コンテストの「ロボティクス」「メカトロニクス」「デザイン」という三つの分野を横断するコラボで新たな柔軟な視点での提案を試みるという観点からは,特に私の専門であるデザイン系の学生が参画している学校が少ないのが残念ですし,最終的な製品デザインに結びつけることにハンデを感じられた学校もあったのではないかとも感じます. 是非,来年はデザインを含めた異なる分野とのコラボでお互いに触発を受けながら,皆さんの斬新な発想をすばらしい提案につなげることができるような取り組みにして頂ければと,大いに期待をしています. (私でよければ微力ですがお手伝いも出来ます)
<チーム九ウィ(九州大学):キウイ花粉自給システム>
 背景と課題,そしてアイデア(三つのシステム,ロボット)が大変理解しやすいプレゼンテーション(スライド及び発表)でした. 花粉採集の為のロボットだけではなく,花粉生産プラント,流通など実際の運用を見据えた提案性があったのも大変良ったと思います. ロボットのアイデアスケッチもありましたが,もっと異なったデザイン案があって,その中から検討を重ねて選んだなどの経緯があったならばそれを知りたいと思いました. またステーションはあまりデザインされていないような円筒形ですが,やはり意味があるのではないでしょうか?それの説明もあるとさらに良かったと思います.
<博多DAIFUKU(福岡大学):機織り娘 〜博多織、ヒトが作るか?ロボが作るか?〜>
 プレゼンテーションは,現状と課題の説明が大変わかりやすく良かったと思います. 手織り特有の「味」を出すために職人の動きをそのまま再現するという人形型ロボットには現実的な実現性を大いに感じますが,さらに職人の人間的な部分(感情や気分=動きの揺らぎ?)の影響などもAI的な観点からの考察などが加わると,もっと興味深い提案になったかと思います. 最後の講評では「美は細部に宿る」と職人A~Dの顔写真が同一であったことを指摘しましたが,これは顔写真をメンバーの顔写真を修正(老けさせて)して貼り付けるなどしてA~Dの職人の差異を表現する工夫があれば(笑いを取りつつ)理解もしやすかったのではないかという意味です.
<DENDEN(近畿大学):ジャンボタニシの卵駆除ロボット「Re:MOVER」>
 ジャンボタニシの卵の付着パターンを用水路の壁の部分,稲そのものとに区分し,各々最適な卵を落とす仕組みを考えてあるところが良いと思います. ただ現実の付着状況(水面からの高さ,密集状況など)の分析があり,幾つかのアイデアの中から最適な解として本駆除機構を採用したのであれば,その説明があるともっと説得力があったと思います. ロボットの形状は何か魚か船を連想させますが,機能追求の結果の形・デザインなのか,キャラクター性を持たせたかった為なのか,などの説明があればさらに理解しやすかったと思います.
<neto3(日本文理大学):地域見守りネットワーク形成補助具「ウェルステッキ」>
 提案趣旨説明書を読むと,現状分析から課題抽出まで世代間の「つながり」という視点で「循環」というキーワードに至ったアプローチは,論理的によくまとまっていると感じました. ただ,それの解決策を既存の「杖」に何かの機能を付加するというデザイン的アプローチに止めてしまったように思え,スティックポスチャーという斬新なアイデアがあったにもかかわらず旧い杖のイメージのままであったのが残念です. 杖に代わるまったく新しいデザインの製品というものを可能性として追求していれば,もっと素晴らしい提案になったかと思います.
<かぼすエキス(大分大学):道路の露払いロボット「キリザム」>
 ロボットの形が面白いだけになぜそのような形・デザインにしたのか,どこがどのように良いのかなどの説明がほしかったところです. ロボットの足(車輪)の形状は高速道路での運用中に他車がその足の間を走行できることを想定しているのでしょうか? ロボットの大きさや他車との関係性についての考えも明らかにして欲しかった思います. 霧の解消機能について実験を行って性能を実証しようとしている点は大変良いのですが,それが本当に応用できるかという観点での分析が十分ではなく,実用性に説得力が欠けていた点も残念です.
<金太郎'S(久留米工業大学):縁の下の力持ち>
 装置(仕組み)が簡単で,一般農家が手軽に入手(安価)・使用できるパワーアシスト装置というのは皆さんが目論んだように実現できれば素晴らしいアイデアです. 脚と腰の力を手での持ち上げに利用するという原理ではないかと理解したのですが,プレゼンテーションではモデルの学生の方が苦しそうな中腰の姿勢を保たなければならなかったようで,本当に機能するのだろうかとの疑問を感じさせたのは残念でした. 原理・機構は正しくても実証実験を行うと新たな問題・課題が出てきます. それらに向き合って納得できる解を見つける姿勢が大事です. このアイデアに格好の良いデザインが加わると将来的に可能性を感じさせる提案だと思いました.
<Jelly Fish(熊本高等専門学校):Jelly Fish Hunter>
 現状の分析,問題の発見,課題の設定,アイデアと正しいプロセス踏んでいてとても良いと思いました. ハフ変換,バッテリー時間,運用システムなどの観点からの検討がよくなされていましたが,最も大事なクラゲを採取しクラッシュするという機能が小さな水中ロボットで可能であるか(例えばクラゲの大きさ・質量に対するロボット本体の大きさ・質量,開口の大きさ,動力とクラッシュしたクラゲの排出経路のレイアウトなど)という点についての検討は十分であったのでしょうか? 実用性にやや説得力が欠けていたかなと思わせた点が残念でした.

審査委員 筬島 修三((一社)九州経済連合会 企画調査部部長)
 今回は「地域産業の支援」というテーマで,7チームが競ってくれました. 私自身4回目の審査で,毎回のことですが,学生さんが課題をよく深堀りして考えて,提案することに感心しています. この「九州」の発展には若い皆さんの知恵・行動が不可欠です.来年以降もすばらしい提案が数多く出ることを期待しています.
<チーム九ウィ(九州大学):キウイ花粉自給システム>
 デザイン,着眼点ともにすばらしい. 私の中では頭一つ抜けてたプレゼンでした. また福岡の特産品であるキウイの現状についても参考になりました.
<博多DAIFUKU(福岡大学):機織り娘 〜博多織、ヒトが作るか?ロボが作るか?〜>
 伝統工芸品である博多織を,ロボット・IoTを活用して振興し,さらに伝統美にとどまらず斬新なデザインも入れるといったアイデアで非常に良いと思いました. あえて言うなら,博多織の職人さんのコピーがそんなに簡単にできるのか?という疑問はありましたが. その辺のエビデンスがもう少しあればなお良かったかなと思いました.
<DENDEN(近畿大学):ジャンボタニシの卵駆除ロボット「Re:MOVER」>
 農作業の軽減,そして収穫量UPによる収益増を目指すアイデアでした. タニシそのものではなく卵を狙って駆除するとした点は面白かったが,水田の中をグルグル回ってチェックするよりも,例えば空からチェックした方がより効率的ではないかとか,本当に卵を叩き落とせるのかとか素朴な疑問点があったのも事実です.
<neto3(日本文理大学):地域見守りネットワーク形成補助具「ウェルステッキ」>
 ステッキを活用した地域見守りネットワーク形成というアイデアでしたが,ステッキそのもののプレゼンが詳細で,そこから生み出される様々な情報を活用したネットワーク・コミュニティ形成についての説明が若干物足りなかったのかなと思いました. 着眼点はよかったと思います.
<かぼすエキス(大分大学):道路の露払いロボット「キリザム」>
 地域交通の大動脈である高速道路が通行止めになればそのマイナスの影響ははかりしれないし,逆にそれを克服すればその分成長の「のびしろ」があるということ. その点からいうと,このアイデアは必要不可欠なもので,デザインも面白かったが,いかんせん実現性があまりにも見えませんでした.
<金太郎'S(久留米工業大学):縁の下の力持ち>
 パワーアシストスーツを電動ではなく,自重で動かすという観点は面白いし,チャレンジングなアイデアだと思いました. これが実現すれば幅広い用途に活用でき,ビジネスチャンスも大きいと思います. ただし,当日のプレゼンだけでは,どういう原理で動くのかが今一つ分かりにくかったのが残念でした.
<Jelly Fish(熊本高等専門学校):Jelly Fish Hunter>
 クラゲの駆除を空と海から行うというアイデアはよかったと思います. ただし,ここも実現可能性がどうなのかなという疑問が残りました. 特にクラゲを粉砕(?)する方ですね. 今後バッテリー等が改良されて,大型化・長時間駆動が実現すれば面白いアイデアになると思いました.

審査委員 永里 壮一(メカトラックス株式会社 代表取締役)
 栄えある2次審査会でのプレゼン,お疲れさまでした. 昨年に続き後援させてもらってますが,毎回新たな視点をもらい私自身が良い勉強の機会をいただいています.
 詳細は各講評で触れますが,ロボット自体の企画よりも社会全体としてのロボットの位置づけを視野にプランを作成された日本文理大のチームをメカトラックス賞とさせていただきました. 本コンペは自分が属するコミュニティを離れて学部外や学外とのディスカッションも可能な貴重な機会です. こういった機会を捉えて,自分の専門分野だけでなく様々な分野や世代の人たちとコミュニケーションをとりつつ企画を形に仕上げていくことは,学生生活での大きな財産になると思います.
 来年度以降在籍の方もいらっしゃると思いますので,是非この貴重な機会を自分の成長の糧とされてください. 最後に,九大チームの完成度は今年だけでなく私がこれまで審査した中でも頭一つ抜けてました. このポスターやプレゼン資料を来年度に向けて参照できる機会があれば,今後参加する全ての学生向けの良い指標になると思います. 参加された皆様の今後のご活躍を楽しみにしてます.
<チーム九ウィ(九州大学):キウイ花粉自給システム>
・テーマ設定は地場の産業向けであり,調査もしっかりされている
・キウイの生態に基づいて,課題設定(花粉の生産)がされている
・花粉採取のリサーチも良い
・花粉市場の問題(海外依存,国内生産の現状など)についてもよく調べられている
・キウイの生態(樹の生え方)に基づいてデザイン・設計がされていて良い
・花粉の吸い込みのところを見たかった(時期的に無理かもしれませんが)
・石松子を入れておいて,タンクごと販売するアイデアは良い
・タンクが受粉機につなげられる構成になってるのが良い(循環ビジネスになってる)
・機器単体ではなく,花粉プラントでの活用アイデアがすばらしい(稼働環境を均一化できるので)
・コスト面での試算まであれば更に良い(欲張りな指摘ですが...)
・他の果樹への展開アイデアも素晴らしい
☆総じて社会人のプラン?と思えるほど素晴らしかったです,最優秀賞おめでとうございます.
<博多DAIFUKU(福岡大学):機織り娘 〜博多織、ヒトが作るか?ロボが作るか?〜>
・ロボット織りというネーミングが良い,伝統工芸の新しいブランディングになるかも
・ロボットは川田工業じゃなくて,モートマンで提案したほうが先に繋がると思いました(笑)
・ロボットが折ることを見学可能に出来れば,施設を観光資源化できそう(海外の人は必ず喜ぶはず)
・動作をモーションキャプチャで検証してることは良いが,もう少し掘り下げてほしかった
・ブランディング施策が良い(海外テキスタイルメーカとのコラボ)
・デザインをAIで処理するアイデアが良い
・定番の壇上芸は素晴らしいが,今回はプレゼンとの関連性が??
<DENDEN(近畿大学):ジャンボタニシの卵駆除ロボット「Re:MOVER」>
・ジャンボタニシは田舎の方だと気になる問題なのでターゲット設定は良い,九州で顕著なのでさらに具体的
・卵が水中に落とすと死滅するなど,生態を調べてる点は良い
・被害など具体的に調べている点は良いが,具体的な被害額などあれば更によかった(予算化しやすいので)
・脚が出る点が機構上のポイントなら,その機構や具体性などもう少し工学的な説明が欲しかった
<neto3(日本文理大学):地域見守りネットワーク形成補助具「ウェルステッキ」>
・機器を審査員に触らせる,カメラでマイクのデモを壇上でやるなどプレゼンが良い(プレゼンは大事)
・持ち運びするデバイスでメッシュネットワーク作る発想が面白い
・福祉対象者だけでなく,現役世代との連携も考えてる点が良い
・据え置きセンサーとウェアラブルセンサーの連携などもう少し深められるとより良かったかも
☆メカトラックス賞,おめでとうございます!
<かぼすエキス(大分大学):道路の露払いロボット「キリザム」>
・霧は具体的に理解できる困った問題なので,ターゲット設定は良い
・デザインはネタなんでしょうが,モビリティなので動力源,サイズ感などの工学的な説明が欲しかった
・自動運転と道路の見守りは可能性が高いのではないか,落下物,故障車,陥没,土砂崩れなど
・霧は本当に無くせるのか??霧の濃さをリアルタイムで通知するだけでも自動運転との連携など役立つのではないか
<金太郎'S(久留米工業大学):縁の下の力持ち>
・農業が盛んな地元(久留米,八女)向けのターゲット設定は良い
・農業⇒腰痛の流れがちょと唐突(基礎データが無かった)
・肝心の機構の説明がわかりづらい
・重いものを持って見せないとよくわからない(機構のデモは具体性が無いとわかりづらい)
・筒型の装着具は良い(手首フリー)
・他の用途にも使えるのは良い
・機構のアイデアは地味ですがかなりなブレークスルーになる可能性があるのでそこをわかりやすく伝えて欲しかった
<Jelly Fish(熊本高等専門学校):Jelly Fish Hunter>
・地元クラゲ問題へのターゲット設定,ならびに被害額が具体的なのは良い
・ドローンを活用しての具体的な問題解決へのアプローチが良かった
・空ドローンと海ドローン(駆除装置)の移動速度に差があり現実的ではないのではないか
・ドローンのスペックは具体的で良いが,どれくらいの面積をカバーできるか,試算すると実用性が試算できるのでは
・自律分散システム化は面白いが,個体のスペック的にそこまでのシステム化が可能か具体的な説明が欲しかった
・開発コストはメモリとかハード費用だけでは無いのは理解しておいてほしい(コストに言及するのであれば)

審査委員 田名部 徹朗(株式会社 三松 代表取締役)
 毎回感心していますが,九州ではまだまだ私自身も知らない事象があることを教えていただき感謝しております. 世の中の役に立つということは,さまざまな課題ニーズを現地現物現実を通して的確に捉えることから始まります. そういった意味で,今回は,比較的実現性の高いテーマを選定されていた思います. 解決のための提言は,まだまだ若さゆえの拙速さを感じるものもありましたが,逆に若さならではの新鮮な提言をお聞きすることができました. 今回のコンペを通して得られた貴重な経験を今後の活動に生かしていただくことを期待してます. また,来年はどんなテーマに三松賞を授与できるか楽しみにしています.
<チーム九ウィ(九州大学):キウイ花粉自給システム>
 テーマ選定,課題解決,ビジネス展開の方法全てにおいて一番洗練されたプレゼンでした. キウィに限らず他の農作物においても,このように上流工程である花粉を押さえて展開できるのは非常に期待を持てます. また,製作物のデザインもかっこよかったです. 今後,実設計においての課題要素を考察し,ぜひ事業化してもらいたいですね.
<博多DAIFUKU(福岡大学):機織り娘 〜博多織、ヒトが作るか?ロボが作るか?〜>
 博多織に限らず,職人といわれる方の技能をどう伝承していくかは日本の大きなテーマです. それを,ロボットと画像解析,制御技術で伝承させようとする提言は,非常に実現性の高いものだと思います. ただし,ビジネスをフィンランド企業と組んで拡大していくというのはやや飛躍しすぎな感があったのが残念でした. まずは,博多織,そして国内各所の伝統工芸を対象分野にして,この提言を広げっていって欲しいものです.
<DENDEN(近畿大学):ジャンボタニシの卵駆除ロボット「Re:MOVER」>
 ジャンボタニシなるものが稲の育成に大きな害を及ぼし,駆除が人手に頼らねばならない現状には危機感を覚えました. 農家の省力化によりコメの収量増につなげるアイデアはとてもいい着眼だと思いました. 機能,機構,デザインそれぞれにまだまだ改善の余地がありますので,これで終わりにせずぜひ実現に向けてがんばってください.
<neto3(日本文理大学):地域見守りネットワーク形成補助具「ウェルステッキ」>
 日本というか今後の世界の課題である高齢者問題を地域コミュニティでどうより良く生活いただけるための提言. 私も予備軍として,こういったものがあると助かると思ったテーマでした. デザイン的,機能的には,まだまだ荒削りで改善の余地がありますが今後に大いに期待したい提言でした.
<かぼすエキス(大分大学):道路の露払いロボット「キリザム」>
 三松賞受賞おめでとうございます. 個人的に,こういった○○ダムものは好きです. 大分県がキリ日本一を独占していたとは全く知らなかったのですが,キリ対策を施すことで人の流れを円滑にして産業・観光振興を行う. 地道に世の中の役に立っていきます感が良かったです. ただ,機能とデザインがもっとマッチしていれば良かったかなと思いました. これで終わりにせずぜひ実現に向けてがんばってください. エールとして三松賞を授与させていただきました.
<金太郎'S(久留米工業大学):縁の下の力持ち>
 農家の方だけでなく多くの荷上げ作業の改善につながる提言と思います. プロダクトとしては,アクチュエーターが簡素化されていたり,倒れたときの安全機構等個々では目を見張るアイデアがあったのは素晴らしかったのですが,全体的なデザイン,本当に人が重量物を軽々ともてるのか等課題もたくさんありもう一考察をお願いしたいものです.
<Jelly Fish(熊本高等専門学校):Jelly Fish Hunter>
 国内で300億円にものぼるクラゲ問題を良く研究された上での提案でした. ドローン,画像解析を専攻である情報処理技術と組み合わせて解決しようとしたところは流石です. ただし,一番大事なクラゲ除去については,必要なスペック,コスト+等まだまだ考察不足のところが多く,もうひと踏ん張りして考えていただきたかったです.