(一社)日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス部門主催 九州地区競技会

フューチャードリーム!ロボメカ・デザインコンペ2018

◆2011年度 審査員総評

審査委員長 末廣 利範(福岡県商工部新産業プロジェクト室)
 本コンペは、学生達の自主研究を通じて、メカトロニクスとデザイン技術の協調感性を磨くことを目的とし、2006年から開始され、今回で第6回目を迎え、九州支部は勿論のこと、学会全体においても注目度が高まっている独特な取り組みです。
 今回の最終審査は、15件の応募の中から、第一次審査を通過した5作品を対象に行いました。「九州の文化・生活・産業に結びついたロボメカ技術」というテーマの下、各作品、独創性溢れるロボメカ・デザイン技術を駆使し、調査した九州地域の問題解決に積極的に挑んでいました。まず、最終審査の総括的な印象は、以下の3点でした。
(1)東日本大震災時の二次災害は、九州においても発生し得る問題として捉え、その対策テーマが2件あった。
(2)モックアップ製作に止まらず、実証実験等による検証まで試みたテーマが2件あった。
(3)最終審査まで残った作品だけあって、評価は難航しましたが、結局、製品化・実用化を図る上で最も大切な「ユーザーニーズの把握」と「ユーザーも交えた研究結果の評価・検証」をいかに地道に取り組んだかが、判断の決め手となった。今後も、このコンペがますます盛況になることを期待しています。

審査委員 本間 康夫(崇城大学芸術学部デザイン学科 教授)
 今回最終審査に残った5作品とも、学生らしいアイディアに富み、モックアップやプレゼンテーションもしっかりと準備された素晴らしい提案でした。
 審査も甲乙付けがたく難航しましたが、最終的には、問題発見・解決・検証といったデザインプロセスをきちんと踏まえた上での提案であったかどうかという点で差が出たように思います。
 震災に因んだテーマが2件、九州に因んだテーマが3件でしたが、住んでいる地域の問題を捉える方が、調査も実験、検証も展開しやすく、的確な評価を得やすいと思います。身近なところにいくらでも問題はころがっています。何より九州で通用しないものは、世界中どこへ行っても通用しません。「九州発、世界へ」チャレンジして頂けると大変うれしく思います。
 もう一つ気になったのは、提案の根拠や展開に、少し考えの甘さが感じられたことです。最近、トヨタ式5W1Hという方法が着目されています。これは、通常の5W1Hと違い、WHY(なぜ)を5回繰り返し、本当の原因を究明して、それに対応した対策(HOW)を考える問題解決の道具といわれています。これで良し!と思う前に、なぜ?なぜ?なぜ?・・・と自問を繰り返してみて下さい。
 来年も数多くの素晴らしい提案が生まれ、「ロボット・デザインで人々を幸せにする」学生がますます増えることを楽しみにしています。

審査委員 薄 俊也(福岡市経済振興局産業政策部科学技術振興課長)
 昨年と同様に、科学技術振興による新産業の創出という行政的な観点、及び、建築/都市デザインなどのコンペやソーラー電気自動車/ロボットなどの制作の経験をもとに、皆さんの作品を拝見させていただきました。今年の作品は、「九州の地域性」に根ざした作品と「自然災害後の対処法」を追求した作品に大別でき、それらを同じ土俵で評価することの難しさを感じました。
 実は、数年前にエネルギーの創出の観点から、1)FURO-HELPERと3)緊急時歩行アシストシステムの考えを組み合わせ、歩行者やトレーニング中の人たちから蓄電するシステムを作ろうとしていたことが、審査中に蘇ってきました。今年度より、最優秀作品をロボスクエアで一年間展示します。果たして、来年どのような作品が登場するのか、大変楽しみです。