How to 裁判傍聴
民主主義国家において傍聴という制度が作られているのは、司法を国民の目で観察・監視するためです。傍聴は市民の権利であり、誰でも行ってよいことになっています。
裁判所にもいろいろありますが、傍聴はまず「地方裁判所」、次いで、地方裁判所よりも軽い案件を扱う「簡易裁判所」をお勧めします。地方裁判所の刑事事件もいいけれど、簡易裁判所の刑事事件も味があります。
玄関を入ったら案内人のおじさんのブースがあり、いかにも挨拶をして一言、断りを言わないといけないような気になるものですが、傍聴は市民の自由。出入り自由なのですから、別に断りを言わなくてもいいのです。
裁判所に入ると、法廷の小部屋がずらっと並んでいます。
簡易裁判所、あるいは地方裁判所のフロアで傍聴します。
各法廷の前に、裁判の内容を示した貼り紙がはってあります。ここが重要で、よく貼り紙を見て「刑事」事件であることを確認してください。「民事」の訴訟ですと、臨床心理学科の私たちは、聞いてもよく分からないと思います。刑事には、時間と罪名、被告人名などが貼ってあります。
開廷中の法廷には、
開廷中というランプがついています。
裁判と裁判の間の入れ替わり時間まで、法廷の前のソファーで待つことができます。
もちろん、時間の途中でそっと入ってもいいんですが、もし「みだりに」出たり入ったりして裁判の妨げになるとアウトです。
「なんか入りにくいな…。中はどんな雰囲気になっているんだろう」と思うときは、法廷のドアに、覗き小窓がついていますから、そこを開けて中を見ます。
法廷には当事者の入り口と、傍聴人の入り口があるので、傍聴人の入り口から入ります。
入ったら、録音録画はアウトですが、メモはOKです。
あとは粛々と傍聴。
なお、傍聴一回目は、やたら有名で大きな事件の傍聴ではなく、毎日行われているレベルの裁判を見るほうがよいでしょう。それも、貼り紙に「新件」と書かれた裁判がお勧めです。
「新件」というのは、初公判です。
「新件」だと、まず事件の概要の説明から始まりますから、どんな事件かが分かります。
事件や被告人の動機、犯罪に至る経緯などが話され、弁護士と被告人とのやりとり、検察官と被告人のやりとりがあります。もめてない事件だと、検察側からの求刑まで出てしまい、あとは後日の判決を残すのみ、みたいなことになります。つまり、裁判の一通りの流れが、1時間ぐらいのうちに終了してしまうのです。
そういう意味で「新件」の傍聴をお勧めします。
これが「審理」の裁判だと、話が前回の続きから始まりますので、傍聴者は、聞こえてくる話をつなぎ合わせてどんな事件かを推測していくことになります。
「審理」はたいてい、言い分が食い違っている裁判です。
また「続きは日を改めて」で終わることが多いでしょう。
「判決」と書いてある時間枠は、刑の言い渡しだけなので、1〜2分ほどで終わります。
その日にどんな裁判があるかは、廊下を一通り歩いて法廷の貼り紙を見れば、分かりますが、
「明日も来ようかな。明日はどんな裁判があるのだろう」と思うときは、
裁判所の玄関ロビーにファイルが一つあり、その中に今週一週間の裁判の一覧表がはさんであります。
(だから、月曜日に行くと、その週の裁判全部のスケジュールを知って、その中から選ぶことができますね。)
インターネット等では裁判のスケジュールを知ることができません。
こんな感じです。
あ、平日のデイリータイムに行きましょう。
福岡の場合は月から金まで裁判があっていますが、もっと地方だと、曜日が限定されているところもありますので、気をつけましょう。
余談
被告人、被告人の親御さん、時には、意見陳述なさるご遺族の方。
語られる生生しい人生、
すぐそばで聞いている自分は赤の他人。
「聴いててすみません」っていう気になるときがあります。
それでも、傍聴しましょう。
司法の雰囲気といったものも含めて、人生勉強になることが多いです。
ちなみに、傍聴を趣味?にしている?いやたぶん、裁判所を居場所にしている人もいるようです。
福岡の裁判所では、高頻度で、ある傍聴おばちゃんを見かけます。
最初は関係者のお母さんだろう、ぐらいに思っていたのですが、
けっこう、いつもおられるし。
もはや緊張感もなく、携帯は鳴らすわ、スーパーの袋の音を立てながら法廷に出入りするわ…^^;)。
初傍聴の方は、傍聴おばちゃんを見つけて、緊張をほぐしましょう。