2日目 『内なる葛藤の中に生き生きとしたエネルギーを見出す』 #1 Larger I <とても大事なコンセプトである、スペースとかLarger I(より大きな自分)のイメージを表すために大きなブッダの絵を書いてみました。スペースとは、いろんな気持ちが居られる自分の中の居場所のようなものです。> フォーカシングでは、自分の感じを受け容れる態度が大切になる。そのメタファーとして、アンさんは、一つ一つの気持ちを生き物のように尊重して扱う。アンさんは、1日目午後から2日目午前にかけて、Larger Iの概念を含めて、いくつかの手がかりを提案なさった。 @ その感じに「こんにちは」と言っていく。 A (扱いにくい感情があるときに)「私の中の何かが」という言い方を使う。(例えば「私は怒りでいっぱいだ」というときに、「私の中の何かが怒っている」という言い方に変えてみる。) B Larger I − 私は、より大きな自分なんだ、と思ってみる。 C 悪い感情は正しい方向に生きていくうえでの潜在的な力を持っているのだ、と思ってみる。 D 「正直、この気持ちを自分を受け容れきれないな」という気持ち(Feeling of Feelings)を受容する。 1994年に初来日された時には、@、A、Dといった一連の、フェルトセンスと関係を持っていくための方法に比較的多くの時間が費やされていたが、それから17年が経って悟りの状態にあるアンさんは、B、Cといった態度のほうに力点がある。 <時には自分を小さく感じてしまって、人生の困難な課題のほうを大きく感じることはありますよね。そういうときにでも、本来の自分というのはもっと大きなものなんだと意識すれば、困難はそこにあったとしても、もう少し待っていれるようになるんです。> <この空間、スペースの質というのはどういうものでしょうか。必要不可欠なのが、そこが安全なスペースだということです。> 今目の前のアンさんが私達にやってくれていることが、言葉で語られていく。 <フェルトセンスも、あなたからそういった特徴を寄せられると安心できますよね。外にある問題自体は変わらなくても、私達の感じ方が変わることで、シフトがあります。難しい気持ちも、泣いている赤ちゃんを親が優しくあやすようにホールドするようなイメージでできるでしょう。> Larger Iのクオリティを感じられるようなエクササイズとして「森の小動物」(2005年「フォーカシング・ワークブック」に掲載されている)を行ったあと、 難しい感じにlarger Iでいられるかどうかを確認するエクササイズに進んで行った。 <じゃあ、くつろげるように椅子に座ってください。 皆さんが、大きな自分、大きなスペースであることを思い出してみましょう。 それから今度は、自分の中で、あまり良い感じじゃないなあという感じ、−居心地悪いなあとか、ここに痛みがあるなあとか−、もしあればそういうところに注意を向けてみましょう。 その感じをどんなふうに表現したらぴったりくるかなと問いかけながら、表現を見つけてみてください。 もしそうしてもOKな感じであれば、その感じに対してこんにちは、と言ってみる、もしくは、そこにいるんだねと言ってみる。 もしくはその部分に、「一緒にいるよ」と伝えるような気持ちで優しく手を置いてあげてもいいかもしれません。> <このエクササイズで、Larger Iになれなかったなという人もいたでしょう。 Larger Iになれないときには、 批判的、不安、眠たさ(逃げ出したい・否認)、焦りといった4種類の気持がよく見受けられます。 これらの難しさをLarger Iの中に持ってきて、例えば「自分の中の何かがそれを批判している」と言ってみましょう> こうして、Feeling of Feelings(この頁の冒頭D)を体験的に説明なさった。 1994年に受講している私にとってはそう目新しい話ではなかったが、 私が感じ入ったのはアンさんの進行だった。 参加者の方が「できない」「うまくいかない」という感じを抱いたとしても平気と言うか、 動じないアンさんの在り方だ。 うまくいかないことの次には、うまくいくことが来る。まるで跳ね上がる前のバネのように−。 アンさんの人生全体を通して、そんな姿勢なのだろう。 アン・ワイザー・コーネル来日ワークショップ福岡2011年 2−(2)に続く |