Web模擬授業
建築とシェアリングエコノミー 戸建て空き家を活用したシェア居住向け住宅に関する研究
建築都市工学部 建築学科
学びのキーワード
- 地方圏
- 戸建て空き家活用
- 若年単身世帯
- 少子高齢化
- シェアハウス
- 行動観察調査
- 地域ストック活用論
- 建築計画学
講義ポイント①
この講義は、建築計画学という学問分野における、地域ストック活用という視点からお話させていただいております。近年、若年人口の流入や晩婚化、未婚率上昇等による単身世帯の住宅需要を背景に、首都圏を中心にシェアハウスの供給が増大しています。供給圏域は東京都内とその周辺地域に集中し、現状では集合住宅が大半であるが戸建て住宅も一部含まれ、新たな既存住宅のリノベーション市場が形成されつつあります。
これに対し地方圏では、シェアハウスの管理運営を専門に手掛ける業務形態が定着しておらず供給量は少ないものの、増加する空き家の再生活用による人口定住や若年層の転入によるコミュニティの活性化等の街なか再生への効果が想定され、大都市圏の戸建て空き家と比較しDK・居間・座敷等の公室や庭・駐車場にゆとりある空間規模を有す住宅が多く、既存戸建て住宅を活用したシェアハウスの普及が期待されます。
講義ポイント②
地方圏でのシェアハウス供給を促進する上では、シェアハウスの知名度の低さや情報量の少なさに加え、1)中古住宅市場の未成熟さがもたらす物件選択の困難性、2)空き家の老朽化や設備の古さによる改修の手間や費用の高額化、3)古民家やファミリー向けの平面構成と非親族同士でのシェア居住の適合性、4)地方都市のシェアハウス入居者の住要求に関する知見の不足等が課題として指摘されます。
従って、木造民家の平面構成の地域的特徴、居住・改修履歴、シェアハウスの開設経緯、開設に要す改修の内容・コスト等を把握するとともに、シェア居住に対する地域需要特性や入居世帯の生活実態とその評価に関し、総合的な調査研究を各地方圏で積重ね、住宅政策と空間計画の課題整理を行う必要があると考えます。
講義ポイント③
ここでは、山口県内に立地する木造民家改修型のシェアハウスを、地方圏で供給促進する上での課題を解決するため先進事例として位置づけています。そして、対象とする3つのシェアハウスにおいて詳細な調査を実施しました。
居住歴や建物改修歴、空き家期間を経て賃貸借契約に至る経緯を整理した上で、開設に向けた改修工事の内容を把握するとともに、行動観察調査による若年単身世帯の居住実態分析を行い、入居者の住要求と空間評価を明らかにしました。
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建築都市工学部 建築学科
大庭 知子 先生 - 専門:建築計画、建築社会システム
- 講義内容がめざすSDGs