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国土開発政策と九州の工業都市

経済学部 経済学科
学びのキーワード
  • 国土開発
  • 新産業都市
  • 大規模工業基地
  • 新興工業地帯
  • 大分市
  • 志布志湾
  • 霧島市

講義ポイント①

1960年代から80年代までの国土開発政策と、九州の都市の成長に与えて影響を見ていきます。
大分市は、1962年策定の全国総合開発計画により「新産業都市」の指定を受け、臨海部の開発が始まりました。鉄鋼、石油などの重化学工業が立地し、今や九州内の都市では北九州市を抜いて、工業出荷額第一位となりました。まさしく、新産業都市の優等生です。
次に、高度経済成長が進む中、1969年に新全国総合開発計画が策定され、鹿児島県の志布志湾が指定を受けて「大規模工業基地」が造られようとします。「大規模」が名前についているように、「大きいことは良いことだ。いけいけドンドン」の時代だったのです。重厚長大型開発の絶頂だったのでしょう。

講義ポイント②

しかし、志布志湾はその後、1973年の石油ショックと、地元の反対運動により、計画は縮小され、現在では石油備蓄基地と穀物倉庫になっています。2度にわたる石油ショックにより、日本のリーディング産業はそれまでの素材製造型の重化学工業=「重厚長大型」から、電機、電子、自動車など加工度を上げて高い付加価値を生み出す産業=「軽薄短小型」に転換し、工業立地も臨海部から内陸部へと移ります。
つまり、重厚長大型の時代には、石油や鉄鉱石などの原材料の輸入、鋼材などの製品の輸出には、バルキーなものを運ぶため「船」が使われたため、海に近い「臨海工業地帯」が発達しました。しかし、軽薄短小型の時代には、船が使う必要がなくなり、トラックや航空機で原材料や製品を運ぶため、高速道路のインターチェンジや空港の近くに工業が立地するようになります。

講義ポイント③

この代表的に事例が、鹿児島県の霧島市(国分・隼人)です。国分隼人は、1980年にテクノポリス構想により指定を受けます。またこれに加え、鹿児島空港の誘致、高速道路の開通により、急速に電子工業が発展します。そして、今や鹿児島市に次ぐ県内第2位の工業出荷額を誇っています。この国分隼人は、現在の鹿児島県では成長著しい場所で、「新興工業地帯」と言えるでしょう。
同じように、高速道路、空港、テクノポリスによって、新興工業地帯なった地域は、ほかにも、長崎県の諫早市や大村市(環大村湾)があります。
このように、国の開発政策や産業構造の変化と、都市の盛衰には大きな関係があるのです。

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経済学部 経済学科

加藤 要一 先生
専門:地域経済の発展
  • 講義内容がめざすSDGs