KSUプロジェクト型教育

教育/学部・大学院

卒業生インタビュー

九産大で自分の個性や確かな力を発揮できる場所を見つけた卒業生たち。

そのメッセージは、夢に向かって進もうとする一人ひとりの背中をそっと押してくれます。

2020年度

株式会社 博報堂プロダクツ 勤務

廣瀬 孔明
廣瀬 孔明 さん

芸術学部写真・映像メディア学科 2020年3月卒業
佐賀県・佐賀学園高等学校 出身

プロジェクトをきっかけに広告業界へ
写真を通じて新たな価値を提案したい

 在学中は専攻していた「写真」で伝統文化の魅力を伝えたいと思い、3年次に「博多織プロジェクト」に参加しました。博多織の知識もないところからスタートしましたが、博多織協会の方々が協力してくださり、新作着物のレンタルや工房の見学などをさせていただいたおかげで、大変やりがいのあるプロジェクトになりました。

 「どうすれば博多織を知らない人、触れたことがない人にも魅力が伝わるだろうか。」これについては相当悩みましたが、先生からの助言もあり、着物と生け花をコラボレーションさせた作品を作り上げることができました。作品は、福岡で開催された「KOUGEI-EXPO(伝統的工芸品月間国民会議全国大会)」をはじめ、福岡県庁や博多区のギャラリーなどでも展示され、大きな反響をいただきました。通常、学生が個展を開いても一般の方に見ていただく機会はわずかですが、プロジェクトのおかげで、自分の作品がさらに多くの人に見てもらえることの醍醐味を味わうことができました。

 「株式会社博報堂プロダクツ」という広告会社に就職したのも、このプロジェクトで達成感を味わったからです。自分がやりたいことをできるのもプロジェクトですが、やりたいことに気付かせてくれるのもプロジェクトの魅力です。今はまだアシスタントですが、数年後には広告フォトグラファーになっていたいですね。皆さんも卒業する時に後悔のないように、興味があることにはどんどんチャンレンジしてほしいと思います。小さなことを積み重ねやり遂げた経験は、就職後の糧になるはずです。

学生時代に関わったPROJECT

「博多織プロジェクト」

 777年の歴史がある福岡の伝統産業「博多織」の新たな魅力を発信するためのプロジェクト。博多織協会によって最新の着物が提供されました。今回は1人で実施したプロジェクトだったため、モデルの選定から撮影、加工までを単独で遂行。プロジェクトをサポートした進藤環准教授の生け花とコラボレーションしたポスターは高い評価を受け、各場所で展示されました。

プロジェクトで作成したポスター

株式会社駿河生産プラットフォーム 勤務

本田 雅文
本田 雅文 さん

工学部バイオロボティクス学科 2018年3月卒業
長崎県・長崎北高等学校 出身

ロボットを製作することで磨かれた
設計スキルと段取り力

 2足歩行ロボットが戦うテレビ番組を幼少期に見たことがきっかけで、2足歩行ロボットの製作ができる九産大工学部に入学。すぐに「2足歩行ロボット製作プロジェクト」に参加し、4年間ロボット製作に熱中しました。「ロボット工房」では、1年次に組み立てキットを使って制御方法を学び、翌年から自作のロボットづくりに取り掛かります。一人で設計、加工、制御などの全工程をやりきるので大変でしたが、やりがいも大きかったですね。また、4年間一台のロボットと向き合ったので愛着も湧き、卒業時には言い得ぬ達成感を味わいました。

 製作したロボットは、ROBO-ONE世界大会にてベスト8まで勝ち上がり、デザイン面が評価されてスポンサー企業賞を受賞しました。この企業とはその後もPVやデモンストレーションに出演させてもらうなど縁が繋がり、現在はグループ会社の株式会社駿河生産プラットフォームに就職し、設計を担当する部署に所属しています。

 競技会の日程から逆算して設計や加工のスケジュールを組む経験は、今の仕事にも活きています。関わる人の数や規模こそ違いますが、自分の能力を把握し、スケジュールを立てるという基本的な段取りを社会人になる前に経験できたことは財産でした。また、在学中に設計のソフト(CAD)が自由に使えたことにも感謝しかありません。おかげですぐに業務に慣れることができました。楽しみながら真剣に取り組んだ先には必ず結果が付いてきます。九産大の充実した環境を大いに利用し、皆さんも何かに熱中してください。

学生時代に関わったPROJECT

「2足歩行ロボット製作プロジェクト」

 九産大と九州大学、福岡工業大学、九州ロボット練習会が連携して行う、ものづくり支援を目的としたプロジェクト。2足歩行ロボットの開発とロボット競技会への出場を目指す「ロボット工房」を設置しています。本田さんが製作したロボットは2年次に世界大会でベスト8に選出。見た目のよさも評価され、スポンサー企業賞を受賞しました。

第29回ROBO-ONEにてベスト8、ミスミ賞受賞

福岡県立小倉工業高等学校 英語教論 勤務

上原 咲良
上原 咲良 さん

国際文化学部国際文化学科 2020年3月卒業
福岡県・九州国際大学付属高等学校 出身

英語も日本語も「伝え方」が大事と実感!
やり通した経験が夢の糧に

 国際文化学科で選択できる「英語プレゼンテーション講座」は、相手に伝わりやすい単語の選び方や効果的なアイコンタクトやジェスチャーなどが学べる実践的な授業です。私自身、この講座を4年連続で受講したことで、伝える力を大いに鍛えられました。

 そして、この講座を受講していたことをきっかけに参加することになったのが「高校生のための"Presentation Bootcamp(英語プレゼンテーション集中特訓)”プロジェクト」です。当初は、高校生のサポートをするボランティアなんだろうと思っていましたが、実際に参加してみると、大学生にとっても学びの場になるような工夫が散りばめられていました。例えば、多様な高校生に協同することの楽しさを実感してもらうにはどうすればいいかを考えたり、プロジェクトメンバーと効果的な伝え方、指導の仕方を話し合ったり。このプロジェクトを経験していたおかげで、教育実習では「どうすれば相手の理解が深まるか」を意識しながら、授業を組み立てることができました。

 4年次に受けた福岡県公立学校教員採用試験に合格し、現在は英語教諭として県立小倉工業高校に勤務しています。授業も伝え方によって生徒の関心の高さが変わるので、とてもやりがいがあります。大学生のうちは、きついこと、つまらなそうなことでも、自分の役に立つ可能性があることには、ぜひチャレンジしてほしいです。そして少しの失敗で諦めず、やり通してください。その経験は、社会人になった時に活きると思います。

学生時代に関わったPROJECT

「高校生のための “Presentation Bootcamp (英語プレゼンテーション集中特訓)”」

 英語でのプレゼンテーションを学びにきた高校生をサポートしつつ、自らも授業で学んだ知識や技術を復習できる「高校生のため"PresentationBootcamp (英語プレゼンテーション集中特訓)"」。英語プレゼンの技術定着と同時にリーダーシップや協調性が育める一石三鳥の内容が大好評。ネイティブスピーカーの教授がプレゼン術を指導します。

学びにきた高校生をサポート

2019年度

イデアパートナーズ 株式会社 勤務

畑田 紘志
佐々田 拓実 さん

商学部第一部 観光産業学科 2020年3月卒業
山口県・山口中央高等学校 出身

頭だけでなく身体で学んだことは、
その後の自分にとって
大きな財産になるはずです。

 長崎県対馬で取り組んだプロジェクトで、「観光産業と島民の生活の共生」をテーマに利き酒イベントを企画しました。今思えば、イベントで扱う日本酒や酒器をよく集められたと思います。本来であれば予算を組んで酒造メーカーに発注するのですが、大学生によるプロジェクトなので予算がなく、酒蔵一軒一軒に「無償でお酒を提供してください」とお願いしました。大学生だからできた依頼の仕方ですが、なかにはイベント当日にわざわざ対馬まで駆けつけてくださる方もいらっしゃって、本当に有り難かったです。

 私は、他にも柳川や志賀島の観光プロジェクトなどにも参加しましたが、いずれにおいても、地域の魅力と課題を肌で感じられたこと、企画提案の機会をいただけたこと、事業者や自治体の方々と共に取り組めたことは、かけがえのない財産になりました。

卒業後は地域活性化に取り組むコンサルティングプランナーとして、人を集める仕掛けづくりや自社飲食店のブランディングに携わっているので、在学中の経験が活かされていると実感しています。座学だけでなくプロジェクト型教育を通して実践的に学べたのは、九産大ならではですね。

 人生は長いですが、高校生活も大学生活もあっという間。難しく考える必要はないと思いますが、まずは「将来何をしたいのか」を見つけて、そのために「今何ができるか」を考えるのは大切だと思います。学生のうちは失敗しても大丈夫ですから、とにかく積極的にチャレンジしてほしいですね。

学生時代に関わったPROJECT

日本と韓国の観光交流促進を目的とした「日韓観光振興プロジェクト」に参加。年間40万人の外国人観光客が訪れ、韓国人観光客も多い長崎県対馬を舞台に、アンケートやヒアリングによる調査活動を実施し、3年次に利き酒イベントを提案しました。提案企画は「大学生観光まちづくりコンテスト2018」で「JTB賞」を受賞。2019年には、日本酒7銘柄を集めて実際にイベントが開催されました。

2018年度

ダイハツ工業 株式会社 勤務

畑田 紘志
畑田 紘志 さん

芸術研究科 造形表現専攻 2015年3月修了

ぜったいに、あきらめない。
最後まで粘り強くやりきる。
みんなで作り上げた経験が、今もチカラになっています。

「全日本学生フォーミュラ大会に出場する」。私はこの夢に向かって、学生主体で一台のフォーミュラカーを作り上げるプロジェクトに参加しました。やる気のある人が声を掛け合って集まり、工学部のメンバーが車体の製作を、芸術学部のメンバーが外観のデザインを担当しました。みんなで話し合って決めた車両の開発コンセプトは「人と車両の融和」。車両のスペックの追求にとどまらず、人が駆けることを優先して、操作性、安全性、装備性を追求しました。

製作の過程では、失敗も多くありました。大人数のメンバーと関わる中で、「遠慮しすぎても、自己主張が強すぎてもうまくいかない」というコミュニケーションの難しさも経験しました。しかし、あきらめず、粘り強く、メンバーみんなで協力し合って、無事に車両を完成させたときには、大きな達成感とやりがいを感じました。

卒業後、現在はダイハツ工業株式会社で、「クレイモデラー」という職に就いています。デザイナーが描いたスケッチや図面などをもとに、プロジェクトでも用いた工業用粘土「クレイ」を盛ったり、削ったりしながら、クレイモデルという原寸大の自動車モデルを製作します。製作したモデルが、ゆくゆくは商品となり、街中を走り回ることになります。

クレイモデルはフォーミュラプロジェクト同様にデザイナー、クレイモデラー、設計者など複数の人が関わり、協力しながら完成させていくのでコミュニケーションが大切になってきます。また、何度もやり直しを繰り返すことが、デザインの魅力向上に繋がるので、あきらめず粘り強く取り組んでいくことも必要です。

このようにフォーミュラプロジェクトで学んだことが社会人になった今でも活かされています。

皆さんも、学生時代に自分がやりたいこと、得意なことを何か一つでも探してください。そして、とことん打ち込んでください。たとえ時間がかかっても、結果は必ず後からついてくると思います。

学生時代に関わったPROJECT

芸術学部×工学部が共同でフォーミュラカーをつくる「学生フォーミュラ」プロジェクト。畑田さんは、工業用粘土の「クレイ」を使ってモデルを製作した。完成した車両『KSU-5R』(車長2775mm/車幅1380mm/車高1325mm)/総排気量600cc)は、福岡モーターショーに出展され、「九州学生製作車両展」でデザイン賞を獲得。

大和ハウス工業 株式会社 勤務

江川 詩乃
江川 詩乃 さん

工学部 住居・インテリア設計学科 2018年3月卒業

限られた「予算」や「納期」の中で多くの人と協力して良い建築を作る。社会での仕事を、学生時代に経験できたことが今に活きています。

3年次に、賃貸物件を扱うハウスメイトマネジメント様と連携した『Re:部屋プロジェクト』に参加しました。2LDKのファミリーマンションの一室で壁を取り払った大空間を作るリノベーションを行い、空室の解消をめざしました。オーナー様と企業様から出資いただく予算は、約200万円。「自由に行う設計」と違って、「予算や納期の中で良い建築を作る設計」は想像以上に大変でした。

この経験は、4年次の卒業設計で連携した三好不動産様との『スマイルデザインプロジェクト』でも活かされました。ひとりよがりではいけないこと。多くの人と協力して、建築ができあがること。他にも、設計者として大切なことを社会に出る前に肌で学びました。同時に、授業で培った自由なデザインの感覚が役に立つことも知りました。新たな価値のデザインを意識し、周辺環境の調査から入居者のターゲットを絞ったワンルームの提案は「若者ならではの、斬新で考えつかないもの」と企業様に喜ばれました。すぐに入居者も決まってとても嬉しかったですね。

2つのプロジェクトで培った設計の考え方は、就職活動でも強いチカラになりました。卒業後は、大和ハウス工業株式会社に入社する夢を叶えて、事業施設や医療機関の建築を担当しています。土地、建築の設計、協力事業者などを全体的にコーディネートして、プロデュースする仕事に取り組み、充実した日々を送っています。

振り返れば、「なんとなく」入学したこの学部が、今の私のはじまりでした。「もっとデザインを突き詰めたい」と夜遅くまで取り組む情熱が、自分に芽生えたことは驚きでした。九産大のキャンパスには、未来の可能性が待っています。迷うくらいなら、ぜひ飛び込んでチャレンジしてください。

学生時代に関わったPROJECT

工学部と不動産会社が連携した、中古集合住宅のリノベーションプロジェクト。図面や模型で終わらず、自身の設計作品を在学中に2つ実現させた。子どもの成長や家族のつながりを意識した作品は「日本都市計画学会九州支部長賞」を受賞。不満レスな部屋づくりを課題とした卒業設計は「日本インテリア学会全国大会最優秀作品賞」に輝いた

株式会社 秋川牧園 勤務

鳥羽 亮介
鳥羽 亮介 さん

経営学部 産業経営学科 2015年3月卒業

めざせ、農業で地域活性化!
野菜を育て、商品をつくり多くの笑顔を届けた情熱は、今も私の原動力です。

学内に2か所、香椎浜のアイランドシティに1か所。NPOや企業、行政などと連携したプロジェクトは、畑を作ることからスタートしました。めざすのは【無農薬・無添加・無加熱】をテーマに、生産・加工・流通を行う6次産業による地域の活性化です。畑では、家庭から出る生ごみや、和白干潟に大量に発生していたアオサを回収して、有機肥料にしました。同時に、みんなで加工のアイデアを考えました。

チームの代表商品となった「玉ねぎドレッシング」が完成した日は、今でも忘れません。大きく育った玉ねぎを、胸をはずませて地域のレストランへ運びました。シェフと共に玉ねぎを加工し、約450本のドレッシングが目の前に並んだとき、自分たちの活動が初めて「商品」になった達成感と地域の皆様に届ける期待感に包まれました。さっそく学内、アイランドシティ、天神などで販売して、結果は『完売』。ものづくりの面白さに、みんなでしびれた瞬間でした。

卒業後は、6次産業を自社で行う株式会社秋川牧園に就職。全国の生活協同組合やオーガニック食品を扱う方々へ商品の提案を行っています。食、環境、農業について最新の情報を学びながら、学生時代に取り組んだ「安心・安全」で「口に入っても間違いのない食品」を扱う日々は、充実感にあふれています。

皆さんも、何かひとつ全力で取り組むこと、最後までやりぬくことに挑戦してください。全力で取り組めば、自分の進みたい方向やめざす人に出会えます。最後までやりぬけば、多くのことを成し遂げる力が身に付きます。焦らず怖がらず、まずは一歩踏み出して、有意義な大学生活を送ってください。

学生時代に関わったPROJECT

経営学部・事業開発コースの学生チーム「farm3.0」による地域活性化プロジェクトNPO法人循環生活研究所、企業、行政などと連携して、無農薬の循環型農業を、6次産業に発展させた。鳥羽さんたちの作ったドレッシングは「安心・安全」と地域住民にも大好評。多くの功績は高く評価され、「ふくおか共助社会づくり表彰協働部門賞」を受賞。