国際経済学A・シラバス
(2002年度版)


(授業科目名) 国際経済学A
(学部・学科・配当年次・クラス) 経済学経済学科2年次
(期別) 前期
(氏名) 岡本哲史
(所属) 経済学部経済学科

(教科書) 岡本哲史『衰退のレギュラシオン』新評論、2000年

(参考文献) 佐藤秀夫『国際経済の理論と現実』ミネルヴァ書房、2001年

(指定図書) 佐野誠『開発のレギュラシオン』新評論、1998年
          J・アボイテス『メキシコ経済のレギュラシオン』大村書店、1994年

(講義概要)
 世紀末の今日、われわれは、意識するしないにかかわらず「外国との接触」を日常的に経験するようになりました。身近にあふれる外国製品、海外テレビニュースのリアルタイムでの受信、外国人留学生・観光客・労働者などとの頻繁な接触、等々。とりわけ、「経済」的な意味での国際化の進展はめざましく、国民経済間の緊密な「相互依存関係」が未曾有の規模で進展していることについては、今さらいうまでもないことです。資本、商品、サービス、労働、情報は地球大規模で移動し、為替相場や株式市況はもちろんのこと、コーヒー一杯の値段すらも、地球の裏側で生じたささいな変動が原因のことがあるのです。
 本講義の基本的な狙いは、@国際経済の理解の上で必要とされるオーソドックスな基礎理論と、Aさまざまな制度的機構の基本的な仕組み(ex.国際通貨システム、貿易制度、国際金融制度、等々)を理解し、B過去から現在にいたる国際経済そのものの構造変化を正確におさえた上で、Cそれが今日抱えるさまざまな問題点の整理、検討を行うことです。
 国際経済学が最終的な目標とすべきは、いうまでもなく同時代分析=国際経済の現状把握です。しかし、「理論」と「制度機構」に関する把握を欠いたまま現状分析を試みることは無謀であろうし、「歴史=構造分析」を欠いたそれは著しく無味乾燥の皮相な時事的関心にとどまります。それゆえ、本講義ではできるだけ、「理論」と「制度」と「歴史=構造分析」の3つの柱をバランス良く配置し、学生諸君の理解の向上を図っていきたいと思っています。
 国際経済学Aの本年度の講義はおよそ以下の内容を予定しています。なお、そのときそのときの経済情勢などを踏まえて講義内容を変更する可能性があるため、以下の講義内容は、あくまでも年度始めの段階での予定と考えて下さい。また、わたしが担当する国際経済学Aと国際経済学Bは、履修上は独立の科目(前期後期各2単位)ですが、内容的には密接な関係があります。国際経済学Aでは、国際経済社会を理論的に考察する上で必要な基礎的な理論や現状について幅広く学ぶことを主眼とし、国際経済学Bでは、それらの知識を前提にしたやや応用的な事柄を学ぶような仕組みになっています。どちらか一方のみをとっても理解可能なように授業では配慮しますが、なるべく、両方の科目を履修することをお勧めします。

第1章 国際経済学を学ぶための基礎知識
・経済学とはどのような学問か?
・国際経済学とはどのような学問か?
・国際経済社会の現状−グローバル化とその多様性
・ヒト、モノ、カネ、情報の流れ
・豊かな国と貧しい国

第2章 国際経済分析へのさまざまな接近法
・経済学におけるさまざまな学派の存在
・主流派経済学による接近
  ・国際貿易論(国際ミクロ)
  ・国際金融論(国際マクロ)
・政治経済学派による接近
  ・マルクス派の接近
    ・国際価値論
    ・段階論
  ・従属論・世界システム論的な接近
    ・近代化論vs初期従属論−プレビッシュの貿易理論
    ・左派従属論
    ・世界システム論
  ・レギュラシオン学派の接近
・構造派マクロ経済学の貿易論

(オフィスアワーの開設方法)
 オフィスアワーという特別な時間帯は設けません。基本的にはいつでも研究室への来訪は可ですが、授業時間の最後に相談時間を設けますのでそこで相談に乗ります。

(評価方法・評価基準)
 成績は、学年末の筆記試験で判定します。出席点はありません。

(受講上の注意)
 授業中に私語は厳に慎んで下さい。私語に余念のないやる気のない学生は、授業の妨げになるので無理して出る必要はありません。出席調査は一切しませんので、バイトや遊びなど、安心してさぼってください。もちろん、私の試験問題は、授業に出てないと解きにくい問題が出るので、出席することをお勧めしますが……。しかし、強制する気は今のところありません。私の授業が少しでも面白いと思ってくれる学生が出てくれればそれで十分です。君たちが出席点以外の目的で自発的に出席できる日を待ってます。
 また、授業にちゃんと出ている者も、漫然と私の講義を聞き流すだけでは、学期末の試験をクリアーできないと思いますので、筆記試験に十分答えられるだけの自学自習を怠らないでください。出席調査をしないため出席点はありません。100%出席していても授業を理解していなければ、単位を落とすこともあり得ます。逆に、授業には出席しなくとも、図書館などで独学していた人の方が高得点で単位を取得することもあるでしょう。大学の授業に出席さえしていれば、自分は勉強しているのだと誤解している学生が多くいますが、それもサボりの学生と同じくらい大きな過ちを犯しています。授業をきっかけとして、自分自身で本を読み、調べものをしないと、学問は絶対に身に付かないのです。この点を十分に注意して下さい。(といっても、毎回出席している人は、だいたい高得点をとるみたいですが……)。

(関連する科目)
 国際経済学B、国際金融論、経済原論(マルクス経済学)TU、世界経済論、開発経済学AB、西洋経済史TU

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